皆さんは、学校の勉強についていけなくなる経験をしたことがありますか。私自身は経験があり、高校でなかなか授業についていけず、定期試験前の勉強も採点後のテスト返却時も大変でした。そのような状況でも何とかしなければいけないなら、塾通いや家庭教師、オンライン指導など様々な手段を検討することと思います。

状況を変えるためには、努力を惜しまず、ある程度の時間・費用は覚悟せざるを得ないのでしょう。しかし、できれば必要最小限の力で、最大限の結果を出したいと誰もが思います。そのために「何をどうすべきか」を、各教科の中で最もできるできないの差が付くといわれる算数を中心に考えます。

学校の授業は

授業時間はかなり多い

小中学校の授業を年間どのくらいの時間行うかは、文部科学省が学校教育法施行規則で「標準授業時数」として定めています。一部例外はあるものの、基本的には、授業でこの時間を確保することになっています。

例えば「小学校算数」では、次のようになっています。

第1学年第2学年第3学年
136175175
第4学年第5学年第6学年
175175175
小学校算数の標準授業時数(文部科学省 学校教育法施行規則第51条 別表第1より抜粋)

6年間の算数の標準授業時数
 136+(175×5)=1011

6年間の算数学習時間
 1授業時数=45分なので
  1011×45分=45495分=758時間15分

つまり、小学校6年間合計で算数授業は「758時間15分」もあります。ちなみに中学校3年間の数学授業は「320時間50分(時数385)」です。算数・数学だけでも、結構たくさんの時間を学校の勉強に費やしています。

捨てなくていい時間は捨てない方が良い

勉強ができないと「もう学校の勉強はあきらめた。塾や家庭教師を頼んで身につける」と考えたくなるものです。でも、よくよく考えると、せっかくの学校の授業時間を無駄にするのはもったいないと思いませんか。最小限の勉強時間で成果を挙げたいなら、可能なら授業時間も活用した方が良いと思います。

特に算数は「学校の授業で習ったことを使える程度に着実に身につける」

算数は、他教科に比べて「過去に習ったこと(既習事項)をベースに新しいことを学ぶ」傾向が強い教科です。できる・できないの差がつくのはそのためです。基本的には、既習事項を使える程度にしておくことで、初めて新たな内容が身につきます。

もちろん、授業は身についていない子に対しても配慮はされます。ただ、学ぶ本人の気持ちになると「既習事項も、新たな内容も、単元が終わるまでに両方身に着けなければいけない」ことは、とても負担が大きくなります。

逆に考えれば、「既習事項を着実に身につけること」さえ継続できれば、多くの場合授業についていくことは可能です。特に、中学受験でもしない限り、難しい問題まで解けるようにする必要はありません。できるだけ学校の授業について行くことをあきらめず、既習事項を着実に身につけることが最善であると考えます。

既習事項を着実に身につけるとは

ただし、注意しなければいけないことは、身につけるとは単に「公式を覚えて問題が解けるようになること」ではないということです。

「知識・技能」を覚えて問題が解けても、理解しているとは限らない

テストで「立式」を間違えた子どもにその理由を聞くと、「公式にあてはめる数をうっかり間違えた」と答えることがあります。確かに、うっかり間違いの場合もあります。しかし、実は原因が「単なる不注意」ではなく「内容が理解できていない」ことが少なくありません。

子どもは、内容が理解できていなくても、その問題文の言い回しや与えられた数字をヒントに、雰囲気で問題を解くことがあります。公式を覚えていれば正答を出せる場合もありますが、数字や言い回しを変えると間違えます。最近の子どもが理解できていないと言われる「割合」などは、その典型例です。

(例)「割合」の間違え方

割合=比べ(られ)る量 ÷ もとにする量

割合を求めるこの公式は、覚えて多少慣れればある程度の問題は解けるようになります。しかし、そもそも「割合とは」「もとにするとは」など内容の理解が不十分だと、問題文の言い回しが変わるとイメージできず間違えます。

例えば、問題文に「〜をもとにすると」など公式にある文言がなかったり、「〇%増し(引き)」など公式に数字をそのままあてはめられなかったりすると、正答率が下がります。また、計算しやすい数字が並ぶと、それらの数字の雰囲気から計算してしまう子もいます。

子どもは、問題を「速く・簡単」に解きたがります。たとえ理解できていなくても、問題文にある言葉や数字から、公式のどこにどの数字をあてはめるかを雰囲気で探ります。仮にその問題に正解してしまうと、本人も大人も気づかずにいつの間にか苦手になってしまいます。

知識・技能は理解と合わせて身につける

既習事項を着実に身につけるとは、「知識・技能を、内容の理解と合わせて身につける」ことです。公式などの「知識」と問題を解く「技能」は、その意味など「内容の理解」とセットで身につける必要があります。難しい問題を解くことより重要で、算数・数学を苦手にしないことにつながります。

ただし、子どもたちの中には、公式は簡単に覚えられても「内容の理解は時間がかかる」子もいます。自分が出会ってきた子の中には、次のような子もいました。

  • 公式の導き方などが理解できない子
  • 問題文から公式にどうあてはめるかがわからず立式できない子

順を追ってイメージすることは、時間がかかっても丁寧に

これらを理解するには「順を追ってイメージする」必要があります。順を追っていれば、イメージは「頭の中で」でも「紙に書いて」でもできれば良いのですが、子どもの特性によってどちらの方法でも時間がかかるケースがあります。

この場合、教える側が「必ずこう考えればわかる」「とにかくこうやって覚えて」などと短時間で教え込むと理解が付いてきません。恥ずかしながら、自分もその教え方で授業をして失敗したことがあります。子どもの様子を見ながら、イメージできるように丁寧に教える必要があります。

学校の授業についていくために

  1. 既習事項がどの程度身についているか確かめる。
  2. 本人の特性を探りながら、得意不得意を見つける。
  3. 身についていないところを、2で見つけた特性を踏まえて指導する。

当たり前のようですが、willm(ウィルム)では1〜3の順で指導します。よく「指導者側の思い込み」や「こだわり」で子どもに合わない指導をするケースがあるようですが、私たちは基本的に、このようにオーソドックスに指導します。

子どもたちにとっては「勉強する時間」「勉強以外の時間」のどちらも貴重です。せっかくの学校の授業時間は、利用できるなら利用したいと思います。そのための「知識・技能」と「内容の理解」を合わせて身につけるために、本人の特性を踏まえたベストの方法を探りながら指導することが重要だと考えています。

「どのような子でも、この教材、この教え方であれば短時間で確実に身に着く」というような魔法はありません。ただ、一人ひとりの現状や特性を踏まえた指導方法を探っていけば、その子にとってベストに近い方法は必ず見つかります。私たちは、子どもにとって必要最小限の力で最大限の結果が得られるよう努力します。